*足フェチ注意!
1月インテで無料配布したものです
初めての方はコレを先に読んだ方がいいですが、おススメはしません
まっとうな世界で生きて行ってください






「じゃあ、俺んち泊まる?」
銀時がそう切り出したときの彼の顔は、まるで初めて彼氏の家に来た少女のように羞恥と期待が入り混じった困惑の表情で、思わず噴き出しそうになった。
何のおかしいこともないのだ。坂田銀時と彼――土方十四郎は同じサークルの先輩後輩で、今夜はキャンパス近くの居酒屋で男だけで新年会をしていた。二次会のカラオケにまで雪崩れ込めば終電はなくなる。残ったメンバーで自宅生は土方ひとりで、下宿の誰かの部屋に厄介になるのも普通の流れだった。
「そうしろ、土方。銀時の部屋は見掛けによらず、片付いているからな」
「ヅラ、見掛けによらずってのは余計だ」
「ヅラではない。桂だ」
銀時の隣で土方は押し黙っていた。当然だろう。普通に見えるこの流れも、一般的な先輩と後輩の関係であればの話であって、自分たちには当てはまらない。隠された性癖を持つ銀時と、彼に見初められた土方では、逆に土方のあの反応こそが正しいのかもしれない。
「どうせ、アイツらは坂本んちで徹マンだから。行ったらカモられんぞ」
「ぬ?おんし、この前負けたことまだ根に持っちゅうがかぇ?」
「うるせーよ。てめーは一回アカギに絞られちまえ」
くだらない言い合いの間にも、飲み会のメンバーは次々と帰っていって土方の選択肢はどんどん狭まっていく。急な来客を皆、銀時に押し付けたいのだろう。それが分かっているからこそ、土方も銀時の誘いを断ってまで他の誰かには頼みにくい。
「土方、こっち」
そして彼は押しに弱い。有無を言わさず、マンションへの道を示すと、土方は銀時の後ろを追った。


【足先】
銀時の部屋はそれほど広くはなかったが、たしかに片付いていた。男ふたりの雑魚寝くらい何の支障もない。だが、銀時は土方を招いて単に寝床を貸すだけで終わらせるつもりもなかった。遠慮がちに部屋へ足を踏み入れた彼に、クッションを勧めて座らせる。組んだ足先をちらりと盗み見て、その先の劣情に唇を舐めた。銀時が心底欲情する彼の足は今白い靴下が包んでいて、そこを暴く妄想に心が躍る。部屋に来た時点で、彼もわかっているはずだ。理解できない特殊な性癖を持つ自分への嫌悪と、与えられたことのない快感への渇望が彼の中でせめぎ合っている。
そっと手を伸ばせば、土方が怯えたようにこちらを見た。
「靴下、脱がせていい?」
銀時の言葉は問い掛けではなく脅迫だ。実際手は靴下の先を掴んでいて、布の質感を確かめるように蠢いている。こくんと彼の頭が動くのと、銀時が屈んだのはほぼ同時だった。
「あッ…」
爪先に歯を立てて靴下を引っ張る。素足を隠していた白い布が、ゆるやかな力でずるずると後退していく。近付いたことで更にリアルに感じ取れるようになった匂いや汚れが、銀時の欲をよりいっそう煽った。持ち帰った靴下もいいけれど、やはり脱ぎたてが一番興奮する。露わになった片方の足を手で愛おしげに撫でながら、反対の足にも歯を立てた。同じようにじわじわと脱がしていく。するりと名残惜しそうに脱げた靴下に銀時は、ひとつ口付けを落としてから土方へと視線を上げた。
「そこ、机の上座っていいから。ちょっと足上げて」
ふたりとも床に座ったままでは舐めにくい。そう告げる銀時の指示に土方は従った。彼がローテーブルに座ったのを確認してから、これ見よがしに指先を口に含む。
「……ン!」
びくりと身体を震わせたその反応は、銀時をさらに加速させる。一本一本を丁寧に時間を掛けて舐る。ざらついた皮膚の感触を舌へ刻み付けるように何度も嬲った。爪と肉の間を舌先で擽るとぐっと足に力がこもる。どうやらくすぐったいようだ。あと、そんな汚いところを舐めるなという意味もあるらしい。向けられる視線には怒りの色が滲んでいた。しかし、今更な話だ。汚いと嫌悪しているのは土方だけで、銀時にとって彼の足はすべてが興奮材料なのだから。
「爪切ってねーから嫌なの?」
土方の足の爪は少し伸びていた。手入れを怠っているからこそ、そこを暴かれるのが嫌らしい。彼は何も言わずにぐっと唇を噛んだ。
「俺だってマメに爪の手入れなんかしねーよ。つか、爪切りあったかどうかもわかんねぇや」
銀時はそう呟いて再び指先に舌を這わせる。潰れて小さくなった小指の爪をきりと噛んだ。そこは親指に比べて薄くて柔らかい。力を込めれば千切れてしまいそうだ。
「そんなに嫌なら俺が噛み切ってやろうか?このまま、さぁ……」
薄い甘皮をいたぶるようにじわりと力を込める。土方の顔がみるみる強張った。
「やめろッ…!」
弾けるように叫んだ彼ににやりと笑う。冗談だと言わんばかりに今度は爪を優しく舐めた。
「大丈夫、俺は土方くんを傷つけたりしねーから。だから今日はもう少し先までさせろよ?」


【踵・足首】
銀時の愛撫は足裏を辿って踵にまで行き着いた。高く足を掲げられて、踵を軽く噛まれる。その熱の中の痛みに頭がくらくらした。単純に足を支えるために掴まれた足首さえ、銀時の体温に当てられてしまいそうだ。
「せ、先輩……」
おぼつかない心地の中で小さく彼を呼ぶ。しかし、夢中で自分の足を嬲る彼はこちらの声など聞こえていないようだった。踵のすぐ上、足首の後ろに浮き出た筋を舌先で確かめている。土方を執拗に嬲る一方で、銀時の片手は自身のズボンを寛げ性器を取り出していた。あの合宿の夜と同じだ。こうして実際に目にする度に、やはり嫌悪感が沸き立つ。男の足を散々舐め回しながら自慰する彼は滑稽で気味が悪い。しかし、それと同時に訪れる高揚感は、何にも変えがたいのも事実だった。
「は、はぁッ…」
徐々に荒くなる吐息の合間に舌が肌を掠める水音が混じる。足先の戯れから一転、部屋の雰囲気はどんどん淫靡なものへと変わっていった。空気がまるで質量を変えたようにねっとりと絡みつく。銀時が愛した箇所はぬらぬらと唾液に濡れて光っていた。
「別モンみてーだろ」
いつもは姿を隠し、身体を支えているだけの存在が、こんなにもいやらしく誰かの欲を駆り立てるものになっているなんて。
「あ…、ッ…」
がりっと強く噛まれた。しかし、それすらも甘い痛みとなって土方の身体を苛む。
足首の後ろに刻まれた歯形が、蛍光灯に照らされてくっきりと浮かび上がった。


【脛・ふくらはぎ】
土方のズボンの裾を膝上の辺りまでめくり上げる。彼が綿のボトムを履いて来てよかったと銀時は思った。もしジーンズだったりしたら脱がせることになってしまい、さすがの彼もそこまで流されてはくれなかっただろう。どうやら運までも自分の味方をしているようだ。
現れた彼の脛にひとつ口付けを落としてから愛おしげに頬擦りをする。綺麗な顔をしている彼だが性別はれっきとした男であり、もちろん脛毛だって生えている。すべすべした肌に混じるごわついた毛の感触がたまらない。銀時が好きだと公言する足は、骨が太くて均等に筋肉がついている硬めの足で、土方のそれはまさに理想どおりだった。弁慶の泣き所といわれる箇所を甘噛みすると、彼の骨の太さが歯を通して伝わってくる。逆にふくらはぎを舌で辿ると、ぴくりと反応を返す筋肉の滑らかな動きが舌先を押し返す。土方に触れれば触れるほど興奮は昂ぶって、自分の性器を扱く手の動きも早まっていった。
「ッく、…やばい…」
妄想と現実は違う。土方の足を想像して抜いていたときよりも遥かに大きな快感の波が銀時を襲う。じんわりと汗を掻いた土方の足の裏に触れるだけで、こんなにも気持ちがいいのだ。
限界が近いのを見て取った土方が咄嗟に足を引こうとしたが、許すわけがない。銀時は親指を噛みながら彼を見上げた。
「……かけてもいーい?」
「え…?」
「土方くんの足にかけさせて」
ようやく銀時の意味するところを悟った土方は、かっと頬に朱を散らせて怒鳴った。
「ふざけん、なっ…、そんなのヤダ……!」
「大丈夫。服にはかからねーようにすっから…」
「そういう問題じゃねぇッ…!」
それまで大人しくしていた土方が急に暴れ出す。後輩という立場もあってか銀時に言われるがままにしてきた彼が初めて見せた反抗だった。だが、それは逆効果だったりする。抵抗されればされるほど燃え上がるのも、銀時のどうしようもない性癖だった。自然と唇が弧を描く。
「動くなよ、服にザーメンつけて帰りてぇの?」
「ッ……!」
「土方くんが協力さえしてくれたら、ちゃんと後でシャワーも貸してあげるし、着替えも用意してあげる。でも、このまま暴れるなら服にぶっかけて追い出すから」
「……ずる、い…」
そう呟いた彼の顔がすっと青ざめた。同時に身体の力も抜ける。案外簡単に屈服したことに少し残念な気もしたが、張り詰めている欲望も限界だった。土方をテーブルの上に寝かせて、自分は膝立ちをする。こちらに向けられた足に性器の先端を数回擦り付けると、背筋がわなないた。
「く、――いくよ…」
いっそう強く扱くと目の前が真っ白になる。ぐ、と噛み締めた歯の隙間から零れた声に彼の小さな悲鳴が混じったような気がしたが、よく聞き取れなかった。

訪れた疲労感に身体を蝕まれながらもゆっくりと目を開けると、土方の脛の辺りが白濁した体液に汚されていた。辺りを包む雄の匂いも淫蕩さに拍車を掛けている。
「ヤバイ、エロ過ぎる…」
「は、はやく拭いてください…!」
少しでも動くと零れてしまいそうなためか、土方は同じ体勢のまま哀願した。必死な彼の態度に少しむっとする。
「ちょっと待って。とりあえず写メ…」
「先輩!」
「……は〜い」
もう一度悲壮な声で呼ばれて、銀時は携帯ではなく渋々ティッシュの箱を引っ張った。


【膝】
土方は汚れをティッシュでふき取った後、すぐにバスルームへ向かった。銀時の部屋の風呂はユニットバスで、服を着たまま浴槽の縁に腰を掛けて足を洗う。目に見えた汚れは流れたが、未だに感触が残っているような気がして何度も何度も脛を擦った。
「そんな嫌がられるとさすがに俺も傷つくんですけど」
「!?」
振り向けばドアを開けて銀時が立っていた。どうやらバスタオルを持って来てくれたらしい。
「土方くんも女の子の乳とか腹に出したりするだろ?足くらい普通じゃん」
「……俺は女じゃないです」
「…まぁ、そうだけど」
ぱさりとタオルが蓋を締めた便座の上に置かれた。半分ほど開けられたシャワーカーテンの隙間から銀髪が覗いて、ふと視線を奪われる。こちらを見た彼と視線がかち合って、その鋭さにぎくりとした。
「な、何ですか…」
「お湯で足が色づいてそそるなぁと…」
「ア、アンタまだ懲りねーのかよ!」
「趣味に懲りる、懲りないもねーだろ」
カーテンがシャッと引かれると土方と銀時を隔てるものはなくなる。1メートルにも満たない先で銀時はにやりと口角を上げた。まるで獲物を落とす獣のような獰猛さに恐怖を覚える。しかし、同時に沸き立つのはあの時と同じ妙な高揚感だった。
「責任とって俺が洗ってやるから」
それが都合のよい言い訳だということもわかっていた。縁を乗り越えてバスタブへと入ってきた彼を拒めないのは自分の弱さで、彼はその弱さを見抜いている。
「可愛い膝だね」
彼が言うようにお湯でピンク色に染まった膝頭を軽く噛まれる。内部で燻っている快感の火種を煽られて一瞬怯んだ隙に、膝裏に手を差し込まれて高く持ち上げられた。幅の薄い縁に座っている状態で片足を持ち上げられれば、体勢はますます不安定になる。反対の足で踏ん張ろうにも下は湯が流れるバスタブの中、つるりと滑ってしまいそうで心許ない。
「せ、先輩…」
思わず手を伸ばして彼の肩を掴んだ。
「ん。ちゃんと掴まってな」
首にしっかりと回された土方の両腕を確認して、銀時は満足気に笑う。穏やかな笑みの下には凶悪な欲を隠しているというのに、その表情に不本意にも縋りつきたくなった。こちらの心情を知ってか知らずか、彼は応えるように柔らかな手つきで膝を愛撫する。いっそう高く持ち上げられて、今度は膝裏に舌を這わされた。
「ッ、や…」
「膝裏、くすぐったい?」
「……はい」
素直に答えたところで彼が止めるはずもない。予想通り笑みを深めて再び顔を近付けた。
「ン、んん……」
皮膚の薄いところを重点的に攻められる。かと思えば脇の筋の窪みを擽られる。骨や関節は硬さを確かめられるように歯が立てられて、肌や筋肉は質感を味わうかのように舐められた。
「あっ…」
浴槽の中で出しっぱなしのシャワーのノズルが跳ねて、湯がズボンを濡らす。水分を吸ってじんわりと色が変わった布を見て、銀時は抑揚のない声で淡々と言葉を発した。
「あーあ、もう脱ぐしかねーか」
「え?」
「土方くんの太腿と初めてのご対面かな?」
ちゅっと膝頭に唇を落とした男の顔は、この日一番の輝きを見せていた。




春日 凪



イベントで問答無用で押しつけた足ふぇち。なんという暴挙。



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